パスカル曰く、人間は考える葦である。
多分、クライマーはムーヴを考える人なのではないかと思う。
自分のアイディアは大抵、的外れで、見当違いなので修正に修正を加える。
トライアンドエラーの繰り返しだから、ピタッとハマった時の爽快さが何とも言えない。
10年以上、通っている岩場。
いつもは、素通りしていた岩。
ふと見上げるとホールドに目が付く。
とはいえ、地上からは届かないし、どうしたもんかと考えた挙句、飛びついてみる。
ヨセミテで地ジャンスタートの課題登ったことを思いだして。
どうやら、ぶら下がってスタートできそうだ。
自然と口角は上がっていく。
スタート後も、ムーヴに四苦八苦。
落ちる度に、レストしては考える。
手順、足順、スタンス。
間違いを繰り返しながら修正していく。
グレード的には二級くらいだろうし、登るまでに回数はかかったけれども、有意義な時間だった。
想像することを忘れないこと。
その大事さが身に染みる岩登りだった。
考えることは、合否より大事なことかもしれない。
結果はどうあれ、考えたことは残るから。
地ジャンという発想に至るまでの10年は長過ぎた気もするけど、その10年の月日がなければ思いつかなかったような気もする。
まあ、気長に行こう。
そして、気楽に。
たまに、休んで。
悩みは深く、決断は早く。