「いちばん大切なのは、一生懸命、生活すること。一生懸命したことは、いちばん純粋なことであり、純粋であることは、もっとも美しく尊いことです。」ー土井善晴
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クライミングをしていると、ピュアになれる。
正確に言うと、登りたいという課題と向き合っていると無になれる。
ただただ、単純に登りたい。
そのことだけしか、頭に無い。
ホールドを握るのに、必死で何もかにも見えなくなる。
そんな時間が尊い。
無駄な力、過剰な知識、余計な思考。
どこかに置くことが出来た時、ピュアな時間が流れる。
ハイになる。
ゾーンに入る。
言い換えると、そんな感覚だろうか。
ボルダー、リード、クラック、ジム。
ジャンルは問わないけども、ピュアタイムを欲してクライミングをしている気がする。
達成感より、そんな時を刻みたいのだと思う。
青い鳥を追い続けるみたいな。
今、追いかけている3羽を籠に入れるのは、夢物語なんじゃないかと感じている。
だからって、サジは投げない。
自分にカッケーと陶酔したいわけでもなく、誰かにスゲーねと承認して欲しいわけでもない。
ただただ純粋になれるから。
人間だから、見栄や誇示もある。
汚いヤツだと、自己嫌悪に陥ることは多々ある。
そんなヨゴレを拭きとる手段が、自分にとってクライミングなんだと思う。
愚者が、聖人になる一時。
子どものように、目がキラキラする瞬間。
スーパーマリオのスター状態。
そんな風に、一生懸命になれるのは幸せだ。
ただ、歳を重ねる程に、余分な肉、知識、考えに毒されてしまう
知らず知らず、自分の内側にベタベタと癒着していく。
そして、時間が経てば経つほど、落ちにくくなる。
そいつらは、贅肉、固定観念、先入観といった臨床症状として現れる。
解毒してやらないと、中毒になってしまう。
そのアンチテーゼ、今はクライミング。
だけど、何かに移り変わるかもしれない。
新しい何かに。
その時は、変化を恐れず、目の前のことを愉しみたい。
一瞬でも、ピュアな時間が多いに越したことはないのだから。
仕事、生活、趣味で、純粋になれる時間の割合を増やしていけたら良いなと思う。
全部とはいかなくても、その一部だけでも、夢中になれるものを見つけたい。
もし、何かしらに一生懸命でずっといれたら。美しき日々だった。
と、涅槃の時に思えるんじゃなかろうか。
そう思って、最後に目を閉じれたら、幸せですね。