旅に出ようと思った時が旅の始まり。
代休が入っての4連休、ボーナス前の貯金残高、行ってみたい場所。
それらをかき混ぜた結論は北海道。
長い休みだし遠くへ。
船便は安い。
アヨロに行ってみたい。
早期割引に誘導されて、フェリー、宿、レンタカーと流れにのって旅の手筈を整える。
理由が3つあれば、行かない理由はない。
きっかけや理由なんて後付けだけれども。
大義名分よりも衝動が大事だ。
月夜に輝くフェリーに心ときめく。
苫小牧の風は冷たいけれども穏やか。
レンタカーのナビを設定する。
"40km先を左です。"
おおらかな指示と青広い空に、北の大地のスケールを感ずる。
目的地、アヨロは、訪れたかった場所の一つ。
岩を登り、浜を散歩し、物思いにふける。
くよくよしないで、かつ物事に打ち込むってことは、相当難しいことだな。
あきらめないってことだよ。しつこい性格だよ。おれはしつこいさ。くよくよしてしつこくて、かなり嫌なやつだから。
何回も、100回も200回も、300回もやって、登れてうれしいと思うかどうかだよな。
『岩と雪』 Best Selectionより
吉田和正さんの言葉が頭を巡る。
ここでも、しつこく、くよくよしていたのかな。
最近、器用に、スマートに、登ろう(生きよう)なんて思ったり。
本当は、不器用で、泥臭いのが好みなのに。
それで、無理して、カッコつけて、息苦しくなっていたような気もする。
絢爛なデコレーションケーキではなく、潔いショートケーキであれ。
シンプルだからこそ、ちょこんと盛られたイチゴが輝くのだから。
物思いに沈み、気分も沈んで、もう夕陽は沈みそう。
暮れ行く中、狙っていたスペシャルライトを完登。
やっぱり、しつこく、くよくよ、何度でもだ。
自分にとって、クライミングは旅を構成するピース。
これが無ければ、どっか行こうという衝動も湧かないと思う。
休暇、懐事情、クライミング の3ピースでパズルが完成したら、どっか行く時なのだろう。
北海道は広い。
見るべきもの、食べるべきもの、登りたい課題がまだまだある。
また来年、衝動が起こることでしょう。