あとはトぶだけ。

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時々、どうしても登りたい課題が出来る。

登りたい課題なんて、星の数ほどあるけれど。

今、この時、どうしてもってヤツ。

そいつが立つ場所は、雪でシーズンオフ。

「カチさんの車じゃ無理です。」

数日前に先行した友人から連絡が入る。

「行ったら、遭難してたね。」

と諦めの返信を打つ。

その裏で、メラメラ燃えたつモチベーション。

じゃあ、歩いていってやろうじゃないのと。

 

案の定、道路は圧雪。

でも、気持ちは萎えない。

ラッセルする覚悟で来たんだから。

とはいえ、こうして歩く雪道も悪くない。

ざくざく、道路を歩く。

ぽかぽか、体は温まる。

ドキドキ、胸が高鳴る。

 

すっかり気を良くして、今回のテーマソングを鼻歌う。

THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのバードメン。

ムーヴを思い出しながら、口ずさむ。

動きは完成しているから、あと一手。

スタンス上げて、あとはデッドするだけ。

“一目見たなら、あとはトぶだけ”

そう、あとは跳ぶだけ。

 

岩場も雪化粧。

駄目かなとヤツの様子を伺う。

リップは白いけど、大事なところにはない。

今日が、その時だったのだと、気合いが入る。

スタートで戸惑ったり。

足がスリップしたり。

気分を落ち着かせた3トライ目。

 

スタートの痛いカチが心地よい。

粒がソールに食い込むのが足先から伝わる。

バランシーな二〜三手目を指力でねじ伏せる。

いつもは疎遠なクロスも今日は身近に感じる。

スタンスをちらりと見て、踏み直す。

力いっぱい引きつけて、肘の角度は90°。

リップはガバ。

よし、あとは翔ぶだけ。

 

登れてしまうと、あっけなかったなと思う。

とはいえ、開拓当初からのプロジェクト。

何年ごしやら。

この課題のために、いろいろ意識してきた。

習慣づけた腹筋と腕立て。

家での懸垂とキャンパ。

おやつにゆで卵。

それらが、指を強くしてた(と思う)。

 

思い返せば、いろいろなことがつながってた。

片道10kmのチャリ通勤。

昨年通った安達太良のアプローチ。

放置されて歩いた豊田。

これらがあったから、歩いていこうとなった。

 

それらが、本当に功を奏したのかは謎。

こういう妙な熱意は、金にならないと知ってる。

だけれども、無駄にならないと熟知してる。

いや、今まで知ったかぶりだった。

今日、本当に思い知ったんだ。

何か、意味があるんだって。

 

さて、次はどいつだろう。

いろんなところに、いっぱいいるけれども。

今、その時、どうしてもというヤツは一つだけ。

そいつを見つけたら。

さあ、あとは飛ぶだけ。